「自律神経失調症」の記事一覧

自律神経失調症

間脳は、脳幹と終脳の間に位置している。
間脳は、4つの構造物より構成されている。
視床・視床上部・腹側視床・視床下部である。

視床は、第3脳室の両脇に認められ、
異なる機能を有する多数の神経核よりなる。

これは、大脳皮質に至るほとんどの求心路の中継地点。

インパルスのうちいくつかの物は、視床レベルで受け止められて、
統合されて何らかの修飾を施されているが、
大脳皮質に達した後に作り出されている。

さらに、視床は大脳基底核・脳幹・小脳・大脳の運動領域と
幅広く統合しており、運動規制回路の重要な構成要素

腹側視床の最も重要な核が視床上核であり、
大脳基底核と機能的に重要な関連がある。

視床上部は主として松果体と手綱核からなり、
日内変動リズムの調節に重要な役割を果たす。

間脳の最も底部にあるのが視床下部であり、
生命維持に必要な呼吸・循環・水分バランス・栄養吸収などを
司っており、自律神経系を規制する最高位の中枢となる。

視床下部は、視床下部-下垂体経路を介して
内分泌活動にも影響を及ぼす。

自律神経系は、内臓臓器・血管・汗腺・唾液腺・涙腺の神経支配に
関与している。

この系のほとんどは意識とは無関係に働いているので、
「自律」と呼ばれている。

時には、植物神経系と呼ばれることもある。
この神経系における遠心路は末梢部分では、
解剖学的、機能的に異なる2つの系に分かれている。

これが交感神経である。

求心路は、このようには分かれていない。

間脳は、多機能の種類を有してるので、
これが障害された場合に出現する症状は、
その障害部位とそれの広がりにより多種多様である。

視床が障害された場合には、片側の運動麻痺・片側の知覚部位・
意識障害・疼痛症候群などが出現される。

視床下部が障害されると、生命維持に必要な機能が障害されたり、
内分泌異常などがみられる。

自律神経失調症という名前は、
特に内科の先生に多く使われているようです。

意味は、原因不明の身体症状を訴える方に対して、
よく使われる名前です。

身体症状の訴えに見合った所見のない場合、
たいていのお医者さんは、訴える方に
「自律神経失調症」として身体の説明をしています。

自律神経は、自分の意識で動きを調整することができない神経です。
意識に上らない部分で自動的に作用している神経のこと。

逆に、自分の意識でコントロールできる神経のことは、
体性神経といいます。
自分の腕を使って、物を取ったりするときに動く神経です。

自律神経は、外部からの刺激や体内の変化に対して、
生命全体のバランスを維持するために、反射的に体の各部の
動きを調節する動きを持ちます。

生命維持をする目的を果たすために調節機能は、
恒常性と呼ばれます。

自律神経は、①内臓(心臓・消化管・膀胱など)・
②血管・③腺(涙腺・唾液腺)に分布している。

自律神経には、交感神経と副交感神経の2つの神経があります。
交感神経と副交感神経の両者は、互いに拮抗的に作用して
二重支配の原則と呼ばれる。

走る時には、心臓から血液をたくさん送り出す
必要があるので、心臓を早く強く働かせる為に、
交感神経が働いて副交感神経は休みます。

次は走り終えて、今度は心臓を休ませる為に、
副交感神経が働き、交感神経は休みになる。

内臓の動きの日常的な部分は副交感神経が行うが、
身体の内外で重大な変化が発生した時に、
対応するのが交感神経です。

自律神経が脳からの「命令」を内臓や血管に伝えるためには、
神経末端から化学物質を放出する必要があります。

化学物質は、交感神経ではノルアドレナリンが、
副交感神経ではアセチルコリンが放出されます。

自律神経のバランスが悪くなるということに、
科学的な根拠はない。

仮説だと、自律神経の交感神経と副交感神経の
緊張のバランスが崩れて、支配臓器の機能にも変調が出るため、

全身倦怠感、めまい、頭痛、動機などの
多様な症状が出現すると考えられる。

自律神経失調症という名前は、患者さんの訴える症状に
見合う病名がない場合に用いられる。

いわゆる「除外診断名」と呼ばれるもので、
日本独特の物で、他国には同じ病名はない。

不定愁訴(症候群):
1970年代、阿部達夫医師が
「漠然とした身体的な愁訴を有しているが、
これに見合う器質疾患の裏付けのないもの」

に対して、不定愁訴症候群という概念を提唱した。

現在は、不定愁訴症候群は自律神経失調症と
ほぼ同じ意味で扱われる事が多いです。

「原因不明の身体症状」を訴える方に対する「病名」として
自律神経失調症の名前が使われて、

全身倦怠感・めまい・頭痛・動機などのことを
「不定愁訴」と呼ぶ。

参考文献:体にあらわれる心の病気「原因不明の身体症状」との付き合い方
磯部 潮 PHP新書

参考資料:心身医学 標準テキスト第3班
編集 久保千春 医学書院

参考資料:神経診断学を学ぶ人のために
柴崎 浩   医学書院

参考資料:やさしい自律神経生理学 命を支える仕組み
編著 鈴木郁子  中外医学社

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