「発達性協調運動障害」の記事一覧

発達性協調運動障害(DCD)

発達性協調運動障害(DCD)は、
脳性麻痺や筋ジストロフィーなどの神経・筋肉に問題がなくても、
手先の細かな動きが上手くできない子供を言います。

学校内において、発達性協調運動障害の子供さんの特徴

公立小学校2校・私立小学校1校の教員32名に対して、
「運動面で気になる子供の実態に関するアンケート調査」を実施した。
(2016年実施)

学校内において、発達性協調運動障害の子供さんの特徴は、

全身運動:
☑姿勢が崩れやすい
☑転びやすい
☑長縄とびをしても、タイミングよく入れない
☑ボール投げをしても、うまく狙えないし、うまく捕れない
☑水泳をしても、前に進まない
☑ダンスの振りが覚えられない
☑跳び箱や鉄棒の運動が苦手

細かい動き:
☑文字を書く時に、ノートのマス目からはみ出る
☑食べ方が汚い
☑食事中、箸の使い方が下手
☑リコーダーの演奏が苦手

性格:
☑自信がない
☑あきらめやすい
☑おとなしい
☑一人でいる時間が多い
の意見が挙げられた。

参考文献:発達性協調運動障害[DCD]
[監修]辻井正次・宮原資英 金子書房

発達性協調運動障害(DCD)の4側面

診断基準A:運動技能の稚拙さ
スプーンや箸を使って食事をしたり、ハサミを使ったり字を書いたり、
ボールを取ったり、自転車に乗ったり、スポーツに参加するのは、
身体のいろいろな部分を協調して動かす運動技能を学ぶのに必要です。

子供の中には、運動技能を獲得するのが著しく遅れていたり、
運動技能を遂行することができても、動きが遅かったり、
不正確だったりすることがあります。

また、よく物を落としたり、物にぶつかったりして、
やることなすことがしばしば不器用に見えます。

子供の年齢から考えるとできないはずはなく、運動を学習したり
経験する機会があるのにも関わらず、運動技能を習得が期待される
水準よりも著しく低いと考えられる場合にはだけ、
この基準を充たしていると判断される。

診断基準B:運動技能の稚拙さが及ぼす影響
A基準の通り運動技能が稚拙なせいで、日常生活で自分の身の周り
の世話ができなかったり、学業や学校生活、職業訓練や職業能力、
レジャーや遊びに支障をきたす場合にだけ、このB基準を
満たしていると判断されます。

逆にいくら運動技能が稚拙しても、自分の身の周りの世話ができて、
学校生活を問題なくこなし、就職して仕事もでき、レジャーや遊びも
不自由なく楽しく事ができれば、この基準を満たしているとは言えない。

診断基準C:
小さな時から動くのが苦手
動きの問題は、幼少期から始まると確認された場合、
この基準を充たしたことになります。

診断基準D:
運動技能の習得を困難にする他の障害がない
知的障害や知的発達に遅れのある子供の場合、
知能の発達レベルに比べて運動発達が極端に遅れていると
考えられる場合のみ、このD基準を充たしたと考えらる。

視覚障害や、筋ジストロフィーなどの神経・筋疾患がある場合は、
このD基準を充たしていないことになります。

発達性協調運動障害の診断基準は、
DSM-5を参照する4つの診断基準

①:学習や練習の機会があるのにかかわらず、
スプーンや箸やハサミを使ったり、自転車に乗ったり、手で字を書いたり、
物を捕えたり、スポーツに参加することなどの協調運動の技能を獲得し、
遂行することが、暦年齢から期待されるレベルよりも著しく劣る。

協調運動の困難さは、物を落としたり、物にぶつかったりする不器用さとして、
遂行した運動技能の緩慢さや不正確さとして現れる。

②:診断基準①における運動技能の欠如のせいでために、暦年齢に相当の日常生活活動、
日常的に自分の身の周りの世話をすることが深刻かつ持続的に妨げられており、
学業または学校活動の成果、就労前後の労働活動、遊びや余興活動にも
深刻かつ持続的な悪影響を与えている。

③:発症は、早期発達段階である。

④:運動技能の欠如は、知的能力障害(知的発達症)や
視力障害によってうまく説明できず、脳性麻痺や、
筋ジストロフィーや、変性疾患などの運動神経疾患に起因しない。

※原文の診断基準を読者に解りやすいように筆者が意訳した。
(宮原、七木田、澤江、2014)

参考文献:発達性協調運動障害 親と専門家のためのガイド
宮原資英 著 スペクトラム出版社


参考文献:子供の不器用さ その影響と発達的援助
編著 辻井 正次・宮原 資英 ブレーン出版

ページの先頭へ